【子育て vs 老後】30代・2児の父が実践する「教育資金と老後資金」を両立させる投資戦略

節約

目の前の教育費か、遠い老後か?30代子育て世帯の「究極の選択」

はじめまして。前回、地方の事務系会社員として資産2000万円を達成した道のりをお話しした「ファンタ」です。

前回の記事を読んでくださった方から、こんな質問を多くいただきました。

  • 「2人のお子さんの教育費と、ご自身の老後資金、どうやって両立させているんですか?」
  • 「限られた収入の中で、どこに優先順位をつけていますか?」
  • 「正直、教育費に追われて老後のことなんて考えている余裕がありません…」

この悩み、痛いほどよくわかります。

私自身、30代後半、やんちゃ盛りの2子を持つ親として、この「究極の選択」に何度も直面し、妻と頭を抱え、時には真剣な議論を重ねてきました。

子供の教育費は、成長に合わせて確実に重くのしかかってきます。習い事、塾、大学受験、そして大学の学費…。 一方で、「老後2000万円問題」が叫ばれ、私たちの老後も決して安泰ではありません。

「目の前の子供のためにお金を使いたい」という親心と、「将来の自分たちが困らないようにしたい」という現実的な不安。

この二つの間で揺れ動く30代子育て世帯は、本当に多いのではないでしょうか。

この記事では、ごく普通の事務職会社員である私が、どうやってこの「教育資金」と「老後資金」という二つの大きな課題と向き合い、実際に両立させているのかを、具体的な戦略と数字を交えて徹底的に解説します。

特別な収入や才能は必要ありません。必要なのは、「現状把握」と「戦略的な優先順位付け」、そして**「長期的な視点でのコツコツとした行動」**だけです。

この記事が、あなたの家庭の「お金の心配」を「計画的な安心」に変える一助となれば幸いです。


なぜ「両立」が難しいのか?30代子育て世帯が陥りやすい罠

まず、なぜ多くの30代子育て世帯が、教育資金と老後資金の両立に悩むのか。その背景には、いくつかの共通する「罠」があります。

罠1:漠然とした「不安」に立ち向かう「情報不足」

「教育費は高い」「老後はお金がかかる」という漠然とした不安はあっても、「具体的にいくら必要なのか」「いつまでにいくら貯めればいいのか」という情報が不足していることが多いです。

私自身もそうでしたが、必要な金額が分からなければ、具体的な行動計画も立てられません。不安だけが先行し、何も手につかない状態に陥りがちです。

罠2:「目の前の支出」に囚われる心理

子供が小さいうちは、オムツ代、ミルク代、保育園代、習い事代…と、目の前の支出が次々と発生します。

「今は子供のためが最優先!」という気持ちは当然です。しかし、それに集中しすぎると、「まだ先のこと」と老後資金の準備を後回しにしてしまい、いざ気づいた時には取り返しがつかない事態になりかねません。

罠3:夫婦間での「価値観のズレ」と「コミュニケーション不足」

わが家でも経験しましたが、「習い事はたくさんさせたい派」の妻と、「老後資金もちゃんと確保したい派」の私で意見が衝突することがありました。

どちらの意見も間違っていません。しかし、この価値観のズレを解消しないまま、漠然とお金の話を進めてしまうと、結局何も決められないまま時間だけが過ぎてしまいます。

罠4:「時間」という最大の味方を活かせない

30代は、資産形成において「時間」という最大の武器を使える最後のチャンスかもしれません。

若いうちから少額でもコツコツ投資を始めれば、「複利」の力が雪だるま式に資産を増やしてくれます。しかし、上記のような罠にはまっていると、この貴重な時間をただただ浪費してしまうことになります。


「教育資金」と「老後資金」、わが家の優先順位とロードマップ

これらの罠を乗り越えるために、わが家が最初に行ったのは、**夫婦での徹底的な話し合いと「優先順位付け」**でした。

結論から言うと、わが家の優先順位は以下の通りです。

  1. 生活防衛資金の確保(最優先)
  2. 老後資金の確保(時間を味方につける)
  3. 教育資金の準備(確実性と柔軟性)
  4. 「ゆとり資金」の形成(趣味や旅行など)

「え、老後資金が教育資金より上なの!?」と思われた方もいるかもしれません。 これには明確な理由があります。

理由1:親の老後破産は、子供にとって最大の負担になる

極論ですが、親が老後にお金で困窮し、子供に頼らざるを得ない状況になったら、それこそ子供の人生に大きな負担をかけてしまいます。

子供の教育資金は、奨学金やバイト、あるいは本人の頑張りで何とかなる部分もありますが、親の老後資金は「自分で作るしかない」部分が大きいのです。

理由2:「時間」は老後資金の最大の武器

老後資金は、教育資金よりも準備期間が長く取れます。だからこそ、少額でも早くから始めれば、複利の恩恵を最大限に受けられるのです。

子供が大学に入るまでの期間は限られていますが、老後までの期間はまだ20年、30年とあります。この「時間の長さ」を活かさない手はありません。

理由3:教育資金は「出口」が明確、老後資金は「不透明」

教育資金は、大体いつまでにいくら必要か、ある程度明確なゴールが見えます。 しかし、老後資金は「いつまで生きるか」が分からないため、ゴールの見通しが立ちにくい。だからこそ、早めに「土台」を固めておくことが精神的な安心に繋がります。


具体的な目標額と積立計画(ファンタ家のリアルな数字)

次に、具体的な目標額と積立計画です。 これはあくまでわが家の例ですが、ご自身の家庭に置き換えて考えてみてください。

STEP1:まずは「ゴール」を設定する

  • 子供2人の大学資金目標額: 一人あたり約600万円(私立大学文系・自宅通学の概算)×2人 = 1200万円
    • (国立大学や理系、下宿となるとさらに増えます。わが家は現実的にこのラインで設定)
  • 老後資金目標額: 年金以外に月10万円で30年間暮らすと仮定し、3600万円
    • (これは現在の支出から逆算したあくまで目安。夫婦2人分)
  • 生活防衛資金: 手取り月収の1年分で約300万円

合計で、約5100万円という数字が見えてきました。 「うわ、気が遠くなる…」そう思いましたか?私も最初は同じ気持ちでした。

しかし、この数字を分解し、一つずつ取り組めば、決して不可能ではありません。

STEP2:それぞれを「どこで」「どう」準備するか

わが家では、これらの目標を達成するために、資産の種類と制度を明確に使い分けています。

  1. 生活防衛資金 (300万円):
    • 用途: 不測の事態(失業、病気)
    • 置き場所: ネット銀行の普通預金(いつでも引き出せる、金利がやや良い)
    • 特徴: 投資には回さない「聖域」
  2. 老後資金 (3600万円):
    • 用途: 自分たちの老後の生活資金
    • 置き場所: iDeCo(夫婦2人) + **新NISA(夫婦2人)**の「成長投資枠」
    • 特徴:
      • iDeCo: 節税メリットが非常に大きい(掛金全額所得控除)。60歳まで引き出せないが、老後資金と割り切る。
      • 新NISA: 非課税枠が大きく拡大。柔軟性も高い。インデックスファンドが中心。
    • 戦略: 長期・積立・分散投資の王道で、**リスクをやや高め(株式中心)**に、時間をかけて大きく育てる。
  3. 教育資金 (1200万円):
    • 用途: 子供の大学費用、場合によっては高校・塾費用
    • 置き場所: **新NISA(夫婦2人)**の「つみたて投資枠」 + ジュニアNISA(廃止後も非課税運用継続)学資保険(一部)銀行預金(直近の費用)
    • 特徴:
      • 新NISAつみたて枠: 長男の大学入学まであと10年と考えると、まだ運用期間が取れるため。
      • ジュニアNISA: 廃止されたが、非課税で継続運用できるため、既存分は継続。
      • 学資保険: 利率は低いが、元本保証で確実性が高い部分をカバー。
      • 銀行預金: 大学入学直前で必要な費用は、リスクを取らず現金で確保。
    • 戦略:
      • 子供の年齢に応じてリスクを徐々に下げる(教育費が必要になる数年前からは現金比率を高めるなど)。
      • 確実に必要な資金なので、老後資金よりはやや保守的に運用。

STEP3:毎月の積立額をシミュレーションする

前回の記事で紹介した「固定費削減」と「副業ライターによる入金力アップ」で、わが家は毎月約10万円を投資に回せるようになりました。

これを、上記STEP2の優先順位と置き場所に合わせて配分します。

  • iDeCo(夫婦分): 月額4.6万円(会社員上限)
  • 新NISA(夫婦分、老後資金向け): 月額3万円
  • 新NISA(夫婦分、教育資金向け): 月額2万円
  • その他(学資保険など): 月額0.4万円

これで合計10万円。 もちろん、ボーナスからの追加投資も行っています。

シミュレーションサイトを使えば、この積立額で目標に到達できるか、ある程度の目安が分かります。 重要なのは、**「何となく貯める」のではなく、「目標から逆算して計画的に貯める」**ことです。


教育資金と老後資金を両立させるための具体的な戦術

ここからは、わが家が実践しているより具体的な「戦術」をご紹介します。

戦術1:子供の年齢に合わせた「アセットアロケーション(資産配分)」の見直し

教育資金は、「いつまでにいくら必要」という出口が明確です。だからこそ、子供の成長に合わせて、投資のリスク度合いを調整する**「タイムパス投資」**を意識しています。

  • 子供が小さい時期(0〜10歳):
    • 投資期間が長いため、株式比率を高めに設定(例:株式80% / 債券20%)。
    • 複利の力を最大限に活かす。
  • 子供が大きくなる時期(10歳〜大学入学直前):
    • 必要な時期が迫るため、徐々にリスクを下げる。
    • 株式比率を下げ、現金や債券比率を高める(例:株式50% / 債券30% / 現金20%)。
    • 暴落時に資産が目減りし、必要な時に引き出せないリスクを避ける。

老後資金はより長期なので、株式比率を高く維持しますが、教育資金は「守り」も重要です。

戦術2:ジュニアNISA(旧制度)は「卒業後」もフル活用!

2023年末で廃止されたジュニアNISAですが、2024年以降も子供が18歳になるまで非課税で運用を継続できます。わが家では、これを教育資金の「守り」の要として活用しています。

非課税枠を使い切った後も、そのまま運用できるため、既存のジュニアNISA口座がある方は、慌てて売却せず、継続運用をおすすめします。

戦術3:「児童手当」は全額「教育資金口座」へ(見なかったことにする)

毎月支給される児童手当。これを家計に組み込んでしまうと、いつの間にか消えてしまいます。

わが家では、児童手当が振り込まれたら、すぐに別の「教育資金専用口座」へ移動させています。 「これは最初からなかったお金」とすることで、確実に教育資金として確保できるのです。

戦術4:夫婦での「情報共有」と「定期的ミーティング」

これは一番重要かもしれません。

わが家では、月に一度「家計会議」と称して、夫婦でお金の話をしています。

  • 現在の資産状況の共有(どこにいくらあるか)
  • 今月の支出の振り返り(無駄遣いはなかったか)
  • 子供の習い事や将来の教育プランの共有
  • 最近の経済ニュースや投資に関する情報共有

正直、最初は「面倒くさい…」と思うこともありました。でも、この会議があるからこそ、夫婦間での認識のズレがなくなり、「同じ目標に向かって進んでいる」という一体感が生まれます。

そして何より、「二人で乗り越えている」という安心感は、お金の不安を大きく和らげてくれます。

戦術5:「副業」による入金力アップは最強の保険

前回の記事でも触れましたが、本業の給与所得だけでは限界があります。

私が始めたWebライターの副業収入(月5〜10万円)は、当初は老後資金のブースターとしていましたが、今は**「教育資金と老後資金、どちらかが不足した場合の最終保険」**として考えています。

「もし教育費が想定以上にかさんでも、副業収入があるから対応できる」 「もし老後資金の積立が遅れても、副業収入で挽回できる」

この「もう一つの収入源」があるという精神的な余裕は、何物にも代えがたいものです。事務職のスキルを活かせる副業は、本当に多くあります。ぜひ、あなたの得意分野を探してみてください。


地方在住・2児の父が陥りやすい「落とし穴」と対策

最後に、わが家が経験した、あるいは意識している「落とし穴」と、その対策もお話ししておきましょう。

落とし穴1:地方特有の「車」問題

地方では車は必需品。しかし、車にかかる費用(本体価格、ガソリン代、保険、税金、車検)は馬鹿になりません。

「子供が2人いるから、大きなミニバンが必要」という気持ちも分かります。しかし、本当にそのサイズが必要か、中古でも十分ではないか、もう一度考えてみてください。

わが家は「見栄を張らない」と決め、燃費の良い中古のコンパクトなファミリーカーやスライドドアの軽自動車を選び、車両保険も最低限に抑えています。浮いたお金は、もちろん教育資金と老後資金へ。

落とし穴2:「習い事インフレ」との戦い

「周りの子がやっているから」「将来のために」と、子供にたくさんの習い事をさせてあげたい気持ちは、親なら当然です。

しかし、それが家計を圧迫し、教育資金や老後資金の積立を停滞させてしまっては本末転倒です。

わが家では、**「習い事は子供の興味を第一に、厳選して2つまで」**というルールを設けています。 また、送迎コストも考慮し、通いやすい場所を選ぶ、夫婦で分担するなど、トータルコストで考えるようにしています。

落とし穴3:「マイホーム」購入のタイミング

地方だと「家賃を払うならローンを組んでマイホームを」という風潮が強いかもしれません。

もちろん、マイホームは素晴らしい財産です。しかし、購入のタイミングや金額を誤ると、その後の資産形成に大きく響きます。

わが家は中古戸建てを選択していますが、それは「教育資金と老後資金の積立を優先するため」という明確な理由があります。

マイホームを検討する際は、「購入後のキャッシュフローがどうなるか」「資産形成に影響はないか」を、冷静にシミュレーションすることをおすすめします。


まとめ:「教育資金 vs 老後資金」は「家族の夢 vs 家族の安心」

この記事では、30代・2児の父である私が、教育資金と老後資金を両立させるために実践している戦略と戦術をお話ししました。

「教育資金 vs 老後資金」という問題は、突き詰めれば「目の前の子供の夢を応援したい」という親の愛情と、「家族全員が将来安心して暮らしたい」という現実的な願いのバランスを取る作業だと感じています。

どちらか一方を諦める必要はありません。

大切なのは、

  1. 具体的に「いくら」必要なのか、「いつまでに」必要なのかを把握すること。
  2. 夫婦でしっかりと話し合い、納得できる「優先順位」と「戦略」を決めること。
  3. 決めたことを、あとは「淡々と、コツコツと」実行し続けること。

これさえできれば、ごく普通の会社員であるあなたも、必ず教育資金と老後資金の両立を達成できます。

私もまだまだ道のりの途中です。 ですが、こうして計画を立て、一歩ずつ進んでいるという実感が、日々の仕事や子育ての大きな原動力になっています。

あなたの家庭のお金の不安が、この記事を読んで「計画的な安心」に変わることを、心から願っています。


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