前回の記事では、29歳妻に乳がんが見つかったことをお伝えしました。
正直に申し上げます。ブログの更新が止まっていた期間、私は人生で一番きつかったかも知れません。
「経済的自由(FIRE)を目指して、20代で資産1000万円を突破した! よし、これからもっと資産を増やすぞ、ブログもガツガツ発信していくぞ!」
そう意気込んで、まさに新しいスタートラインに立った瞬間の宣告でした。
「どうして妻なんだろう」
「まだ29歳なのに、早すぎる」
「これから子どもたちの成長を、2人でずっと見ていくはずだったのに」
夜、子どもたちが寝静まった後、暗いリビングで1人になると、先が真っ暗で息ができなくなるような感覚に陥りました。現実を受け止めるには、あまりにも残酷な現実です。
しかし、いつまでも立ち止まっているわけにはいきません。私たちには、まだ小さく、手のかかる2人の子どもたちがいます。何より、一番不安で、一番戦っているのは妻自身です。
今回の記事では、29歳という若さで妻が乳がんになった現実と向き合い、私たち家族がこれからどうやって「治療」「育児」、そして「お金(資産形成)」を両立させていくのか。現時点で整理したロードマップと、これまでの家計管理がどう私たちを救ってくれたのかを、リアルな数字を交えてお伝えします。
いま、同じように家族の突然の病気で絶望している方、あるいは「若いから自分たちは大丈夫」と思っている子育て世代の方に、少しでも届くものがあれば幸いです。
1. 29歳での「若年性乳がん」という現実と、夫としてのメンタル
なぜ、私たちが?「若年性乳がん」の衝撃
医療の世界では、35歳未満で発症する乳がんを「若年性乳がん」と呼ぶそうです。乳がん全体の中でも数%程度と言われており、まさか自分の妻がその数%に入るとは、夢にも思っていませんでした。
健康診断のオプションで偶然見つかったのですが、診断が確定した日の夜、初めて妻が泣いたことは一生忘れません。
夫として、パパとして、どう振る舞うべきか
最初の数日間は、ネットで「乳がん ステージ」「生存率」「20代 がん ブログ」といったキーワードを検索し続け、ネガティブな情報に触れては落ち込む、という最悪のループにハマっていました。
しかし、ある日妻から「あなたがそんなに暗い顔をしていると、私がもっと申し訳なくなる」と言われ、ハッとしました。
私がすべきことは、病気について絶望することではありません。
「妻が安心して治療に専念できる環境を、全力で作ること」です。
具体的には、以下の3つを自分のミッションとして心に決めました。
- 妻の前では(無理のない範囲で)いつも通りの明るい夫でいること
- 子どもたちに寂しい思いをさせないよう、これまで以上に育児にコミットすること
- お金や手続きの面で、妻に一切のストレスをかけないこと
2. 治療と育児の両立。地方在住・共働き会社員の限界突破マニュアル
私たち夫婦は地方在住で、共働き、そして2人の子どもを育てる真っただ中にあります。妻の治療が始まれば、これまでの日常は一変します。
ワンオペ育児化を未然に防ぐための「我が家の体制」
抗がん剤治療や手術、放射線治療が始まれば、妻は体調を崩す日が多くなります。保育園の送迎、日々の食事作り、お風呂、寝かしつけ……これらを私1人で完璧にこなそうとすれば、確実に私が共倒れします。
そこで、私たちはプライドを捨てて、以下の「頼れるものすべてに頼る体制」を構築することにしました。
| 項目 | 対策・具体的なアクション |
|---|---|
| 両親・親族のサポート | 地方在住の強みを活かし、お互いの実家に状況を説明。緊急時の子どもの預け先としてバックアップを依頼。 |
| 行政・民間サービスのフル活用 | ファミリーサポート(ファミサポ)の登録、民間シッターの選定、病児保育の確認。 |
| 家事の徹底的な外注と自動化 | ミールキット(ヨシケイやオイシックスなど)の導入、家事代行サービスのスポット利用検討。 |
「家電積立金」が今、最大の武器になる
これまでブログでも少し触れてきましたが、我が家では「住宅用とは別に、家電や将来のトラブルのための積立金」を毎月コツコツと行っていました。
「新しいドラム式洗濯機やロボット掃除機を買うのは、贅沢かな……」と以前は悩んでいましたが、いまこそ、この資金をフル投入する時です。
- 最新の乾燥機付き洗濯機: 干す手間をゼロにする
- お掃除ロボット: 掃除機がけの時間をゼロにする
- 食洗機: 食器洗いの時間をゼロにする
これらの文明の利器は、もはや贅沢品ではなく、「妻の休養時間を生み出し、夫のワンオペ育児崩壊を防ぐための防衛投資」です。お金で時間を買えるなら、今は迷わず買うべき局面だと確信しています。
3. 「資産1000万円」がもたらした、最大の救い
ここで、お金(家計管理)の話をさせてください。
「家族が大変な時に、お金の話なんて不謹慎だ」と思われる方もいるかもしれません。しかし、現実は非情です。がんの治療には、確実にお金がかかります。
結論から言うと、これまで愚直に資産形成を続けてきて、本当に、本当によかった。心からそう思っています。
「お金がある」という事実は、メンタルの安定剤になる
現在、我が家は約1000万円の資産を運用(想定利回り3%)に回しており、それとは別に約300万円の安全資産(現金など)を確保しています。(※なお、私の年収はふるさと納税などの控除を適切に行った上での金額です)
この「安全資産300万円」と「運用資産1000万円」があるおかげで、私たちは次のような経済的不安が多少和らいでいるように感じます。
- 「治療費が高額になったら、生活が破綻するかもしれない」
- 「妻が長期で仕事を休職して、収入が減ったら住宅ローンが払えない」
- 「最悪、私が看病のために残業を減らしたり、時短勤務になったりして給料が下がったらどうしよう」
もし、我が家の貯金が100万円しかなかったら、私は今頃、妻の体の心配と同時に、毎月の預金通帳の残高を見て、恐怖で震えていたはずです。
「お金で命は買えないけれど、お金があれば、治療法の選択肢を広げ、心の余裕を買うことができる」
これが、今回の件で私が得た最大の教訓です。資産形成は、リタイア(FIRE)するためだけのものではありません。大切な家族に危機が訪れたとき、全力で守るための「盾」になるのです。
4. 医療費のリアル。若年性乳がんで知っておくべき制度とお金
正直まだ、我が家は治療の初期(手術を控えている状態)で、まだ総額いくらの治療費がかかるのかは、具体的にはわかっていません。ですが、お金の不安を消すために。私たちが調べ、これから直面する「お金の現実」をまとめます。
① 高額療養費制度(日本の医療制度の最強の盾)
日本には「高額療養費制度」という素晴らしい仕組みがあります。一般的な収入の家庭であれば、1ヶ月の医療費の自己負担額は、どれだけ高額な治療を受けても約8万〜9万円程度(年収によって上限は変動します)に抑えられます。
さらに、直近12ヶ月以内に3回以上上限に達した場合、4回目からは「多数回該当」となり、上限額がさらに下がります(一般的な区分であれば44,400円)。
【注意点】
高額療養費制度は非常にありがたい制度ですが、「月をまたいだ治療」の場合、それぞれの月で上限まで請求されるため、負担が増えるケースがあります。また、入院時の食事代や、差額ベッド代(個室代)は対象外です。
② 20代〜30代ならではの費用:「妊孕性(にんようせい)温存」
若年性乳がんの治療において、非常に重要、かつ見落とされがちなのが「妊孕性(妊娠するための能力)の温存」です。
抗がん剤治療を行う場合、その副作用で卵巣の機能が低下し、将来子どもを授かることが難しくなるリスクがあります。そのため、治療を開始する前に、卵子や受精卵を凍結保存する選択肢があります。
これには公的な助成金制度もありますが、一部自己負担や、毎年の保管費用(自由診療扱いになる部分)が発生します。我が家にはすでに2人の子どもがいますが、これからの家族の未来について、夫婦でしっかりと医師と話し合って決める予定です。
③ 医療保険やがん保険の給付金
ここは、失敗したところなのですが、昨年、ちょうど保険の見直しを行なったことで、全ての医療保険とがん保険を解約していました。
「保険は最小限でいい、浮いたお金は投資に回すべき」と考えていた私ですが、やはり、がん保険の一時金が口座に振り込まれるという安心感は、数字以上の心理的効果があるのではないでしょうか。
もし我が家にある程度の資産がなければ大変なことになっていました。ですから、資産形成が完了するまでは、保険に入っておくのもありかなとおもいます。
5. これから。私たちが一歩ずつ進むロードマップ
これから数ヶ月、あるいは数年にわたり、我が家の闘病生活が本格的に始まります。直近で予定しているスケジュールと、私たちが意識していくことです。
- 詳細な検査(ステージやサブタイプの確定)
- 治療方針の決定(手術を先にするか、抗がん剤を先にするか)
- 自宅の環境整備(時短家電の導入、実家・シッターとの連携体制の構築)
- 治療開始 & ブログやSNSでのアウトプット(無理のない範囲で)
ブログを通じて、私たちが発信していくこと
このブログを始めたとき、私は「普通の会社員が資産を増やすプロセス」を発信しようと思っていました。しかし、人生は何が起こるか本当に分かりません。
今後は、これまでの「投資・節約・家計管理」のノウハウに加え、以下のような「闘病と資産形成のリアルな交差点」を、ありのままに書いていこうと思います。
- 実際に1ヶ月にかかった、乳がん治療費の家計簿公開
- 若年性乳がんの妻を支える夫の、リアルなタイムスケジュールと1日の流れ
- 地方で利用して本当によかったサポートサービス、家事育児のライフハック
- 闘病中でも、資産1000万円の運用をどう維持・管理していくか
きれい事ばかりではないと思います。しんどくて、愚痴をこぼしてしまう日もあるかもしれません。それでも、私たちのこの経験が、いつかどこかで、同じように「まさか自分が」「まさか妻が」と絶望している誰かの、暗闇を照らす小さな小さな光になると信じています。
結び:大切な人を守るために、今日できること
「健康第一」
この言葉の本当の重みを、私はこれまでの人生で一番、痛烈に感じています。いくらお金があっても、いくら資産が1000万円あっても、妻の病気を代わりに引き受けることはできません。
しかし、お金があったからこそ、私たちは「お金の心配をせずに、ただひたすらに妻の命と健康のことだけを考えて全力を尽くせる」という切符を手に入れることができました。
もし、この記事を読んでいるあなたが、まだ若く、「がん」なんて自分には関係ないと思っているなら、どうか今すぐ、パートナーやご自身の胸のセルフチェックをしたり、定期検診の予約を入れてください。そして、万が一のときに家族を守れるだけの「経済的な盾(貯蓄や正しい家計管理)」を、今日から少しずつでも構築してください。
妻は強い人です。私も、子どもたちの前では最高のパパでいます。
絶対に、この試練を乗り越えて、また家族4人で笑顔で旅行に行きます。
これからの我が家の戦いを、どうか温かく見守っていただけると嬉しいです。
次回の記事では、最初の検査費用と、高額療養費制度の具体的な申請手順についてお話しします。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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